雷のせいで自宅のブレーカーがPC起動中に3回も落ちてしまい、おかしな動作をするようになったメインPCのハードディスク。
エクスプローラー上からファイルの読み書きは一応できるのですが、PCの起動に10分以上かかるようになってしまい継続使用は非常に危うい状態でした。
Windowsのスキャンディスクで、「不良セクターをスキャンし、回復する」にチェックをいれてスキャンしても途中で止まってしまう状態。
そのため、新たにハードディスクを購入し、そちらにWindowsを入れなおした後で異常動作するハードディスクの復旧を試してみました。
ハードディスク復旧手順
ハードディスクの状態確認
今回おかしくなったハードディスクはWESTERN DIGITAL(ウェスタンデジタル)の「WD10EADS」というハードディスク。
まず、「CrystalDiskInfo」を使ってハードディスクの健康状態の確認をしてみます。
右下の黒い四角は、画面をキャプチャした時にタスクトレイが映り込んでしまったようで、かっこ悪いので黒く塗りつぶしたけです。
健康状態は「注意」となっており、回復不能セクタ数の生の値を見てみると465(16進数)、10進数で「1125」となりかなり多いことがわかります。
ほかにも、「代替処理済みセクタ数」や「代替処理保留中のセクタ数」で注意ランプが点灯しています。
HDDメーカー専用ツールでハードディスク診断
ハードディスクメーカーは、以下のようにハードディスク診断ツールを提供しています。
メーカー名 | ツール名 |
Seagate(シーゲート) | SeaTools |
WESTERN DIGITAL(ウェスタンデジタル) | Data Lifeguard Diagnostic |
日立(HGST) | HGST Windowsドライブフィットネステスト(WinDFT) |
今回は、WESTERN DIGITAL(ウェスタンデジタル)のハードディスクなので、「Data Lifeguard Diagnostic」を使用します。
「Data Lifeguard Diagnostic」の使い方
Data Lifeguard Diagnosticを起動すると、以下のようにライセンス合意の画面が表示されます
「I accept this License Agreement」にチェックを入れて「Next」をクリックします。
赤枠内にPCに接続されているディスクの一覧が表示されます。
一覧の中から診断対象のハードディスクをダブルクリックするか、ディスクを選択した上で上のハードディスクアイコンをクリックします。
どの診断を行うのかを選択するダイアログが表示されます。
QUICK TEST
まずは、QUICK TESTを行います。
QUICK TESTは簡易診断です。
テスト自体はすぐに終わります。
QUICK TESTをクリックして「Start」ボタンをクリックします。
すると、処理の進行状態を表示するプログレスバー画面が表示されるのでしばらく待ちましょう。
正常に処理が終了すると、QUICK TESTの横に「PASS」と表示されるのですが、失敗したため「FAIL」と表示されました。
テスト結果は「VIEW TEST RESULT」で表示できます。
簡易テスト自体成功しないレベルでした。
EXTENDED TEST
次に、EXTENDED TESTを行います。
EXTENDED TESTはバッドセクタを検出するため全領域にわたってチェックを行います。
そのため、大容量メディアだとテスト時間に数時間かかります。
EXTENDED TESTを選択し、「Start」ボタンをクリックします。
すると、QUICK TESTの時と同じように、検査実行中のダイアログが表示されるので、処理の完了するまで待ちましょう。
今回、キャプチャをとる前にEXTENDED TESTを1度行っていたため、わざわざもう一度EXTENDED TESTを実行するのはやめました。
EXTENDED TESTを実行したときには、途中で「Too many bad sectors detected」と表示されてテストが途中で終了してしまいました。
そのため、このハードディスクはQUICK TESTもEXTENDED TESTも失敗する異常な状態にあるということを確認しました。
WRITE ZEROS
「WRITE ZEROS」は、全セクターに0を書き込んでハードディスク全体をフォーマットします。
実行するとすべてのデータが消去されますので、必要なデータを事前に救出しておきましょう。
必要なデータの救出が終わったら、「WRITE ZEROS」を実行します。
「WRITE ZEROS」を選択し、「Start」をクリックします。
「他のプログラムとファイルを閉じてください」という警告ダイアログが表示されるので「OK」をクリックします。
次に、「1つ以上のパーティションが存在する可能性があります。本当に削除してもいいですか?」という警告ダイアログが表示されるので「はい」をクリックします。
次に、「選択したドライブのデータが消去されます。よろしいですか?」という警告ダイアログが表示されるので「はい」をクリックします。
「QUICK ERASE」か「FULL ERASE」のどちらを実行するか選択します。
「QUICK ERASE」は、HDDの先頭と末尾の一定範囲のセクタにのみ0を書き込みため、数分で処理が終わります。
「FULL ERASE」はドライブの全領域に0を書き込むため、大容量メディアは容量に応じてかなりの時間(数時間)かかります。
今回は、「QUICK ERASE」と「FULL ERASE」両方をやってみました。
「QUICK ERASE」を選択し、「OK」ボタンをクリックすると処理が始まります。
「QUICK ERASE」が正常に終了したら、同じように「FULL ERASE」を行います。
「FULL ERASE」を選択し、「OK」ボタンをクリックして「FULL ERASE」を実行します。
1TBのハードディスクですが、たしか2時間以上かかったと思います。
「WIRTE ZEROS」が正常に終了すると、上のように「COMPLETE」と表示されます。
「VIEW TEST RESULT」で処理結果を見てみます。
上が「QUICK ERASE」、下が「FULL ERASE」の結果です。
「QUICK TEST」を再実行
ハードディスクのゼロフォーマットが完了したので、ここで改めて「QUICK TEST」を実行してみます。
すると、最初の「QUICK TEST」の時と同じエラーが表示されてまたまた失敗という結果に。
「EXTENDED TEST」を再実行
「QUICK TEST」が再度失敗し、半ばあきらめ状態で「EXTENDED TEST」を再実行しました。
すると、前回は途中でエラーメッセージが表示されてテストが終了していたのに、今回は最後まで処理を完了したではありませんか。
「EXTENDED TEST」完了まで4時間弱かかりました。
しかし、右上に×印がが表示されています。
やっぱりだめかとあきらめかけた瞬間、「Test found bad sectors that may be repairable.」の文字が目に入りました。
「修復可能かもしれないバッドセクターを発見しました」ですと!!
しかも、「Repair」ボタンが表示されている!!!
最後の望みをかけて、「Repair」ボタンをクリック!!!!!
「データが失われますよ」的な警告ダイアログが表示されますが、すでにゼロフォーマットした後なので関係ありません。
「OK」ボタンおします。
おおおおおおお、きたあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
「Bad sectors were repaired successfully(バッドセクターの修復に成功しました)」との表示がでてチェックマークが表示されました。
「Close」ボタンを押すと以下の画面に。
EXTENDED TESTの横に「PASS」と表示されました。
「QUICK TEST」を再実行
ここで、「QUICK TEST」をもう一回やってみます。
今度は無事に「QUICK TEST」が終了しました。
そして、すべてチェックがつきました。
これでハードディスクは修復されたはずです。
FromHDDtoSSDを使って最終確認
詳細なハードディスクの解析を行ってくれる「FromHDDtoSSD」を利用してハードディスクの最終確認を行ってみます。
ドライブ一覧より、診断を行うハードディスクにチェックをつけ、上の「完全スキャン」をクリックします。
確認ダイアログが表示されるので「はい」をクリックすると処理が開始されます。
大容量ディスクの場合、容量に応じてかなりの時間がかかります。
今回の1TBハードディスクで、約4時間かかりました。
上は処理が完了したときの画像です。
緑色のところがセクタの状態を表示しており、問題がない場合オールグリーンとなります。
バッドセクタなど問題がある場合は、違う色で表示されます。
見ての通りオールグリーンです。
下段はハードディスクの安定度を示すグラフとなり、状態が悪いと、黄色や赤のラインまで表示がぶれることになります。
今回は青の領域を安定して推移しているのがわかります。
「作業完了」をクリックすると下図のようなレポートが表示されます。
総合評価で、「このディスクの状態は良好と判断いたします」と表示されました。
無事、ハードディスクの復旧に成功したようです。
これで、このハードディスクをまだまだ使い倒すことができます。
復旧後のハードディスクの状態
ハードディスク復旧後は、WindowsのNTFSでフォーマットを行い、Windowsの仮想ディスクやAdobeアプリのキャッシュドライブ、一時的なデータの保管用に利用しています。
基本的に、データが消失しても問題がない用途で利用していますが、今のところ何の問題も出ていません。
CrystalDiskMarkで、ハードディスクの読み書きスピードを計測した結果は以下の通り。
「CrystalDiskInfo」の情報は以下の通り。
復旧前と比べると、「代替処理保留中のセクタ数」と「回復不可能セクタ数」の注意ランプが消えました。
回復不可能セクタ数はなんと0になっています。
しかし、代替処理済みのセクタ数は復旧前より悪化しており、よくよく注意してみておく必要はあると思います。
最後に
ハードディスクが壊れたと思っても、上記の手順を実行すれば復旧できる可能性があることがわかりました。
安易に壊れたと判断する前に上記の手順を実行してみてください。
まだまだそのハードディスクは利用できるかもしれません。
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